Case 03 — School Supplies

決済を、
学校に下ろした話

学校・保護者・販売業者の三者をつなぐ、学用品販売プラットフォーム。お金が三者の間を動く仕組みを Stripe Connect で作りましたが、本当に難しかったのは技術ではなく、「商売の主体ではない学校に、決済プラットフォームの運用をどう渡すか」でした。

導入校

80校

九州を中心に

決済基盤

Stripe Connect

三者間の決済

事務作業

月-数十h

学校側の削減

着手順

管理画面から

EC は後回し

Background

学用品の注文は、なぜ大変なのか

体操服、教材、指定用品——学校で使う品物の注文は、いまも多くが紙の申込書と現金集金で回っています。学校の事務は、保護者から集めた申込を数え、集金を突き合わせ、販売業者へ発注する。保護者は締切に追われて紙を提出し、金額の間違いがあれば問い合わせる。業者は学校ごとにバラバラの様式で注文を受ける。

私たちが作ったのは、この学校・保護者・業者の三者を、ひとつのプラットフォームでつなぐ仕組みでした。保護者はオンラインで注文・決済し、業者はきれいに整った注文を受け取り、学校は取りまとめの手作業から解放される。絵に描けば単純です。難しかったのは、その真ん中を流れる「お金」でした。

The Choice

なぜ Stripe Connect を選んだか

保護者が支払ったお金は、最終的に販売業者へ届かなければなりません。プラットフォームが一度すべてを預かって手で振り分ける方式は、資金の管理責任も、入金のタイミング管理も重すぎました。学校が増えるほど破綻します。

そこで、三者間の決済を成立させるために Stripe Connect を採用しました。プラットフォームが決済を仲介しつつ、売上は各校・各業者の口座へ自動で分配され、手数料の按分も仕組みの側で処理される。技術的には、これで筋の通った設計になりました。問題は、その先にありました。

The Hard Part

商売の主体ではない学校に、決済プラットフォームをどう下ろすか

Stripe Connect のアカウント開設には、本人確認、口座情報、代表者情報の登録が要ります。日々ITと向き合っているわけではない学校の事務に、それを一校ずつ越えてもらう。ここが最大の山でした。

Climax — Rolling It Down to Schools

80校に、どう下ろしたか

Stripe Connect は、受け取り手ごとにアカウントを開設し、本人確認(KYC)を通す必要があります。一般的なEC事業者なら当たり前の手続きですが、相手は学校です。会計のルールは公費・私費で分かれ、担当は事務職員や場合によってはPTA。ITに不慣れな方も多く、「代表者の本人確認書類をアップロードしてください」という一文で手が止まってしまう。これを80校ぶん、確実に越えてもらう必要がありました。

私たちが最初に決めたのは、保護者向けのECより先に、学校の管理画面から作ることでした。見栄えのする購入画面を後回しにして、まず学校の事務が迷わずに使える管理画面と、オンボーディングの導線に力を注ぎました。

具体的には、Stripe Connect の登録に必要な項目を、学校の言葉に翻訳して一つずつ案内する導線に作り替えました。何を・どの順番で・どこまで入力すればいいかを画面が誘導し、つまずきやすい本人確認や口座登録は個別にフォローする。全校を一斉に立ち上げるのではなく、まず数校でパイロット運用して導線の穴を潰し、そこで固まった手順を横に展開していきました。

プラットフォームを作ることと、それを現場に「下ろす」ことは、まったく別の仕事でした。後者を設計しきれたことが、80校まで広げられた理由です。

Result

結果:九州を中心に80校へ

このプラットフォームは、九州を中心に80校で使われています。学校の事務は、申込の集計・集金の突き合わせ・業者への発注という手作業から解放され、月あたり数十時間規模の事務が減りました。保護者からの「金額が違う」「締切に間に合わない」といった問い合わせも大きく減りました。

管理画面を先に作った判断は正解でした。運用の土台が学校側で回るようになってから保護者向けECを整えたことで、立ち上げの混乱を最小限に抑えられました。派手な購入画面より先に、決済を現場に下ろしきる設計に投資したことが、このプロジェクトの成否を分けました。